信楽は、付近の丘陵から良質の陶土がでます。 また、信楽焼は、長い歴史と文化に支えられ、この地の伝統的な技術が今日に伝えられ、 日本六古窯のひとつに数えられています。 中世末期頃より客窯によって壺、甕、擂鉢などの焼き物づくりが始められ、 日本独自の陶磁器産地としての歴史が展開してきました。
江戸時代: 商業の発達にともない、茶壺をはじめ、土鍋、徳利、水甕などの日常雑器が大量に生産されました。
明治時代: 新しく開発された「なまこ釉」を使った火鉢生産がはじまり、一躍全国の需要をまかなうほどに大きな成長を遂げました。その他、神仏器や酒器、茶器、灯火具などの小物陶器や壺、火鉢などの大物陶 器が生産され、質量ともに大きな発展を遂げました。
昭和: 1950年代後半から1970年代にかけては、高度経済成長により電気や石油暖房器具の開発・普及の中 で、生活水準が向上するなど生活様式の変貌にともない、信楽焼も火鉢の需要が減退するなど一大転機に見舞われたが、伝統技術と職人の智恵が火鉢の技「なまこ釉」を取り入れた植木鉢を誕生させ、 高級盆栽鉢や観葉鉢が生産の主力となり、高い評価を受けるに至りました。
その後、水甕、種壺、茶壺、茶器、徳利、火鉢、植木鉢、花瓶など大物から小物に至るまで信楽焼独 特の「わび」「さび」を残し、今日に至っています。
信楽焼の特徴は、信楽特有の土味を発揮して、登窯、窯窯の焼成によって得られる温かみのある火色 (緋色)の発色と自然釉によるビードロ釉と焦げの味わいに特色づけられ、土と炎が織りなす芸術と して“わびさび”の趣を今に伝えています。
卯山窯では、信楽焼の伝統技法を伝承しながら、現在のライフスタイルにあった陶器を提案しています。